労働Q&A

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労働契約

採用時の口頭での説明と実際の労働条件が違う。 労働契約を結ぶとき、使用者は労働者に対して賃金・  労働時間・その他の労働条件を明示しなければならないことになっているが、①~⑤については書面の交付が必要。(労基法15条)《明示すべき労働条件は》①労働契約の期間②就業場所、業務

③始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇

④賃金の決定、計算・支払方法、賃金の締切、支払の時期、昇給

⑤退職

(以下は定めがある場合に必要)

⑥退職手当

⑦賞与

⑧労働者負担の食費

⑨作業用品安全・衛生

⑩職業訓練

⑪災害補償、業務外傷病扶助

⑫表彰・制裁

⑬休職

労働省は、パートタイマー等の雇い入れに際し、「雇い入れ通知書」を渡すように指導している。

約束と違う場合には、即時に労働契約を解除して辞めることができる。(民法541条)

もちろん、労働者は契約の内容通りの履行、すなわち入社前に明示されたとおりの労働条件の履行を使用者に要求できる。

パートと正社員では何かにつけて待遇が違う。 《就業規則での点検》パートタイマーの取扱がどのように定められているか、就業規則を見て確かめることが必要。パート等別立てのものがないときは、社員就業規則が準用される。常時10人以上の従業員を雇用する事業所は就業規則を作り、いつでも見られるように提示などしなければならない。(労基法89条、106条)パート労働法では、事業主の責務として、就業の実態、通常の労働者との均衡等考慮して適正な労働条件につとめるよう求めている。(パート法3条)
「思ったほど仕事ができない」と、時給を一方的に下げられた。 賃金については、契約時に書面明示が必要とされている。「頑張れば上げるが、ダメなら下げる」と言って済ますような曖昧なことは許されない。募集チラシなどに記載された金額を請求できる。
内定の取り消しは許されるか。 内定通知によって労働契約が成立したのであるから、①正式に採用するよう強く要求する、あるいは、②1年分の賃金・ボーナスの金額と慰謝料を請求することを考える。

解雇・退職

明日から突然来なくていいと言われた 解雇・退職金・解雇予告手当は一連であり、次のような手順と質問を準備しておき、まず、大切なことは相手の解雇の状況を正しく聞く。Q1 解雇予告は、具体的にいつ、誰から、どのように言われたのかQ2 雇用時の条件はどうなっていたのかQ3 現在の労働条件はどうなっているのか

Q4 働く意思があるか、ないか

以上を確かめた上で、

(1) 解雇予告手当の条件に当てはまっているか

(2) 就業規則で退職金規程がどうなっているか

(3) 解雇の4要件に反していないか

4要件とは

①会社の維持・存続をはかるために整理解雇しなければならないほどの必要性があること

②整理解雇を回避する努力をしたこと

③整理解雇の基準が合理的・公平であること

④労働組合(者)などに対して、十分な説明と納得を得る努力をしたことを整理する。

労災療養休業中、産前産後休暇中またはその後30日間の解雇はできない。(労基法19条)

解雇する場合は、正当な理由があって、少なくとも30日前に予告するかまたは30日分以上の平均賃金を払わなければならない。(労基法20条)

雇用契約の期限が切れるので「辞めてくれ」と言われた。 すでに何回か契約更新がされている場合は、雇用期間が来たからといって解雇することはできない。→期間の定めのない契約に移行したと考えられる
フルタイムで働いて欲しいと言われ断ったら解雇された。 労働条件は、労使の話し合いによって決定するのが原則。一方の当事者が勝手に労働条件の重要な内容である労働時間を変更することはできないし、拒否したからといって使用者は解雇することはできない。
退職を申し出たが辞めさせてもらえない 労働者が自分の都合で退職する場合は少なくとも2週間前に申し出が必要。(民法627条)
パートは退職金がない。 退職金を払わなければならない法的根拠はない。労働契約、また就業規則に約束があれば、もちろん支払わなければならない。過去退職した人に前例があれば、慣行として請求することもできる。

賃金

労働時間

有給休暇

休憩・休日

労災・安全衛生

自分の不注意で仕事中に怪我をしてしまった。 使用者の指揮命令のもとに使用者のために仕事をしていたのであれば、業務上の事由によるものということができるし、通勤途中であれば、通勤によるものということができるので、労災保険の対象となる。
社員は健康診断があるが、パートはない。 会社は雇い入れ時と1年に1回(有害業務に就いている労働者は6ヶ月に1回)医師による健康診断をしなければならない。(労安法)パートも1年以上引き続き雇用されることが予定されている者もしくは雇用されている者で所定時間が通常の労働者の4分の3以上の者は義務。2分の1以上の者に対してもするのが望ましいとしている。
交通事故で怪我をした自賠責保険や労災保険も受けられるか。 民法や自賠責法などで先に損害賠償を受けて損失が補填された場合は、労災保険の保険給付は行われない。また、労災保険から保険給付を先に受けた場合は、損害賠償請求をその保険給付額の限度で自動的に労災保険が取得することになる。労災保険では、保険給付の他に労働福祉事業として各種の特別支給金を支給することになっているが、これは調整の対象とはならない。第三者(加害者)行為災害であって、労災保険の特別支給金だけを申請しようとする場合は、「第三者行為災害届」を事故発生後に労働基準監督署長に届でなければならないことに注意。
○障害補償給付の他にどのような給付が受けられるか。 ①療養(補償)給付②休業(補償)給付③障害(補償)給付などの保険給付の他に、労働福祉事業として、社会復帰の促進、援護のための事業がある。①温泉保養、②義肢等補装具の支給、③外科後処置

セクハラ・いじめ

上司からホテルに誘われ、拒否して逃げ帰ったが、その後無断欠勤を続けている。「このまま無断欠勤状態が続けば解雇になる」と言われた。 いずれにせよ、理由を告げずに休み続けるのはよくない。話しにくいことはわかるが、どうして休んでいるか、今の状態はどうかあを正確に会社側に伝えておくことが必要。就業規則を見ることが大切だが、解雇理由として通常「正当な理由がなく無断欠勤を繰り返すもの」というのがあるので、セクシャルハラスメントを「正当な理由」として認めさせること。
上司がすれ違うたびに腰に触れて通る、が社長に言っても取り合ってくれない。 会社がこれを放置した場合は、会社自身に損害賠償を請求できる。労働者は会社の指定した場所で就業しなければならないのであり、一方職場は会社の支配監督の及ぶ場所なのだから、会社は職場の環境を整え、労働者が安心して仕事ができるようにする義務がある。
古参の女性とトラブルになり、それからいじめられる。 まず、偏見なく接しているか自らの行動を点検してみることが大切。本当にどうしようもない場合。周囲の誰もがいじめを恐れているようなケースの場合、個人的感情を交えず、純粋に職務上の立場から、職務に重大な支障を来す状態なので、その旨上司にハッキリ言い、止めさせる。会社の断固たる措置が期待できないときは、相手に対して「○○の行為をしてはならない」という「不作為の仮処分」を求める。(民事保全法23条)
始末書提出を命じられたが、出さないと処分されるか。 懲戒処分の中で、通常最も軽いが譴責処分(訓告というところもある)。始末書を提出させ将来を戒めるものだが、単なる事実関係の報告を求める顛末書とは異なり、謝罪の意思表明を含むもの。裁判例(丸住製紙事件、高松高裁昭46.2.25判決など)があり、強制は個人の意思の自由、尊重という法理念に反し許されない。したがって、業務命令違反とはならない。

しかし、反省していないという会社の評価につながることは否定できないし、そうなる可能性は高い。

このことが人事考課、査定でマイナス材料となることは覚悟しなければならない。

派遣

派遣と請負との違い 請負と認められる条件は、すべて満たすことが必要。①直接、業務遂行の指示や管理をしていること②直接、労働時間についての指示や管理を行っていること③直接、服務上の規律について指示、管理や配置の決定を行っていること

④業務の処理に要する資金について、すべて自らの責任おもとに調達し、支出していること

⑤業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負っていること

⑥自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備もしくは機材または材料もしくは資材により業務を処理すること。

もしくは、自ら行う企画または、自己の有する専門的な技術もしくは経験にもとづいて業務を処理すること。

派遣と派遣店員との違い 雇用先と就業先の異なっているすべての場合が、労働者派遣に当てはまるというわけではない。労働者派遣に当てはまるためには、就業先の指揮命令を受けて働いているという関係がなければならない。デパートのテナントなどの場合は、労働者派遣にはあたらない。
半年契約で働いていたが、派遣先の都合で契約が打ち切られた。 期間の定めのある契約の場合、契約の解除は「やむを得ない事由」のない限りできない。「不況で仕事がなくなったので営業所を閉める」などの理由は一応「やむを得ない事由」に該当すると考えられるが、本当であれば、使用者は契約解除をすることができる。しかし、労働者は、損害賠償として契約の残りの期間の賃金を請求することができる。

労働保険

雇用保険に入るにはどうしたらいいか。うちの会社ではパートを加入させてくれない。雇用保険料はいくらか。1年ほど勤めて辞めたのが、失業給付はどのくらいもらえるか。 雇用保険は農林水産業の5人未満事業所以外は、1人でも雇用していれば、事業主は加入しなければならない。労働者が個人で入ることはできない。雇用保険の加入資格は、①週20時間以上勤務し

②1年以上の雇用見込みがあること。

上記の場合は短時間被保険者となるが、週30時間以上の場合は一般被保険者となる。

一般の事業では、賃金総額の15.5/1000で、労働者負担は6/1000。(建設業の場合の労働者負担は7/1000)

一般被保険者は、被保険者期間が6か月以上あり、賃金支払い日数が14日以上の月が6か月以上ある場合に給付を受けることができる。

短時間被保険者は、離職の日以前2年間に賃金支払い日数が11日以上の月が12か月以上ある場合に給付を受けることができる。

受給期間は、離職日の翌日から起算して1年。給付日数は下の表の通り。

労災になったが、労災保険には入っていないと言われた。 労働者災害補償保険は、1人でも労働者を雇っている事業所すべて適用される。もちろんパートタイマーでもアルバイトであっても同じ。

社会保険

パートタイマーが社会保険に入る基準があるか。 加入義務は「常時5人以上の従業員がいる事業所」。法人の場合はすべてが強制適用。所定労働時間と勤務日数が一般社員のおおむね4分の3以上ある場合。
社会保険に入るとどんなことが得か。 健康保険=診療一部負担金が2割(4月から3割)ですむ。私病で長期に休んだときに、傷病手当金として賃金の60%が出る。そのほか、育児手当金・出産手当などの給付がある。厚生年金=保険料をかけた期間に応じて年金額が増える。
会社が入れてくれない。 政府管掌健康保険の場合は社会保険事務所、健康保険組合がある場合は県の保険課から行政指導してもらう。
働くと年金が減額されると聞いたがどのくらい減らされるのか。 在職中は、自動的に年金額の2割が支給停止となる。残り8割の年金を12か月で割った額を基本月額と言うが、以下の4つに分かれる。①基本月額と賃金の合計が22万円になるまで…基本月額満額と賃金が同時に受けられる。②合計額が22万円を超える場合で基本月額が22万円を超える場合…賃金の2分の1に相当する額が基本月額から停止される。

③合計額が22万円を超える場合で基本月額が22万円以下の場合…合計額から22万円を控除した額の2分の1相当額が停止される。

④賃金が37万円を超える場合…37万円を超える賃金に相当する額がさらに停止される。

税金・年収

非課税限度額は○交通費は年収に入るか税金の引かれる月と引かれない月があるのは何故か。税金はどのくらいか。 所得税は103万円、住民税は99万円。ただし、扶養者がいる場合や社会保険料控除などがある人はその金額だけ増えるので、非課税限度額は上がる。通常入らない。月額5万円以上は課税対象になる。

事業所は源泉徴収月額表に基づいて天引きをすることになっている。

103万円÷12か月≒8万6千円を超えると税金が引かれることになっている。

所得税は103万円を超えた分の1割。123万円であれば、20万円×0.1=2万円。

(夫の)配偶者控訴はいくらまで受けられるか。 配偶者控除は103万円までだが、配偶者の控除には、配偶者控除(38万円)と配偶者特別控除(最高額38万円から収入が5万円増えるごとに5万円下がる)があり、その合計額が配偶者のための控除となる。年収76万円までは全額76万円の控除となるが、年収が76万円から5万円増えるごとに5万円ずつ控除が減り、141万円で配偶者の控除はなくなる。
パートはいくらまで働くのが得か。 得か損かは人によって違う。いわゆる「100万円の壁」については、①103万円を超えると本人に税金がかかるようになる。②夫の税金も増える。

しかし、夫婦で税金の増加分を払っても、妻の手取り収入は103万円より増える。

③社会保険の被扶養限度額は130万円まで。

④夫の賃金の扶養手当(家族手当)が103万円で打ち切られる所があるが、会社によって違うので夫によく聞いてもらう。

最後に、夫の会社の将来も不安定になっており、女性が自立することも考える必要あり。

そのために、社会保険をもつことも考えてみよう。

年度途中で退職したときの税金は。 自分で手続きをすることになる。前の会社から発行してもらう源泉徴収票と印鑑をもって、確定申告の時期に税務署に行き、税金還付の申告をする。年内に再就職が決定したときは、発行してもらった源泉徴収票を新しい会社に提出すれば、その会社が手続きをしてくれる。

内職

内職の工賃が貰えないときはどうしたらいいか。 内職者等に仕事を委託する業者は、委託にあたって家内労働手帳を内職者等に交付し、これに工賃の単価、受領した物品の数量、支払った工賃などをその都度記入しなければならない。しかし、委託者にとっては面倒であるとか、内職者等にとっては税金面や夫の扶養手当が支給されなくなるといった心配のため、内職をやっていることを公然とさせたくないという気持ちがあって、現在、十分普及していない。6ヶ月を超えて継続的に同一の内職者等に委託をしている委託者は、その後の委託を打ち切ろうとするときは、遅滞なくその旨を内職者等に予告するように努めなければならない。